2010/11/08
第42回全日本大会



師範の江口芳治です。
11月20,21日に東京体育館で第42回全日本大会が開催され初の王座海外流出という事態が起こってしまった。非常に悔しい反面、極真カラテが全世界に普及し活発に活動している以上必然的な出来事として受け入れなければならないとも思う。日本人選手も頑張ったしこれから来年の世界大会に向けて我々指導者も一丸となって日本の王座奪回に向けて日々精進しなければいけないと痛感した大会だった。

極真カラテを模倣した団体やうわべだけ真似た集団が多々見受けられるとよく耳にする。しかし全世界・北米、南米,ヨーロッパ、ロシア、オセアニア、アジア、アフリカ各国に道場を持ち統一された全世界共通の、世界各国で通用する昇級・昇段規定を持ち、大山倍達総裁から世界大会・全日本大会の規模を維持し発展し続けているのは松井章圭館長率いる我々国際空手道連盟極真会館に他ならない。全道場生にはIDカードが発行され、このIDカードがあれば日本国内のみならず全世界の極真会館の道場で稽古が出来る。今こうしている間にも地球のどこかで同じ極真カラテを稽古している仲間がいるのである!何とも素晴らしいことだと思う。

 実際毎年夏休みになると普段海外で生活している日本人の道場生たちが1〜2か月の間日本に帰ってきてその間内の道場に出稽古に来る。ニューヨークやロスアンジェルスやニュージーランドなどからやってきて一年後の夏休みに帯の色を変えてまたやってくる。子供同士だとすぐに打ち解けるし『また来たよ』「オー久しぶり!」など言う会話も耳にする。子供のうちからカラテを通じて国際交流が出来るのも極真カラテならではであろう。私も極真カラテを通じて外国人の友人がたくさんできた。言葉は通じなくても同じ極真カラテを一緒に稽古して汗を流せば後は[押忍!」の一言で仲良くなれるのだ。(しかしいつも痛切に思うのは学生時代もっと真剣に英語を勉強しときゃ良かった〜である。)

 我々が決して忘れてはいけないのは全てはたった一人の不世出の空手家から始まったということだ。超人的な技量を持った極真カラテの創始者・大山倍達総裁が約半世紀前にたった一人で言葉の通じぬ海外で、その実力のみで、外国人たちを感嘆させ、ゴットハンドと讃えられ、全世界に極真カラテを広め普及させたのである。全門下生の累計数はゆうに1200万人を超えるといわれている。我々が今日当たり前のように極真会館の道場で稽古出来るのは大山総裁のお陰であることに他ならないのだ。存在があまりにも偉大すぎてそのありがたさを忘れがちであるが大山総裁に対する感謝の気持ちは我々門下生は絶対に忘れてはならないと思う。(稽古の前には大山総裁の写真に頭を下げて感謝しましょう!)大山総裁の存在はいわば地球のようなもので我々はその上に住まわしてもらっているに過ぎない。地球には空気があり木々があり大地があり水があり様々な生き物がいる。この宇宙でも地球のような星は奇跡のようなものらしい。空気があること、水があること、大地に立てることを我々は感謝しなくてはいけない。そこにあることが当たり前だと思ってしまうと感謝の気持ちがなくなり、個個が自分勝手な主張を繰り返しいがみ合い、やがて大きな争いに発展してしまうのである。まずは地球に感謝すべきである。大山倍達総裁は我々にとってまさに地球のような存在であると思う。心から感謝したい。ちなみに私の空手の直接の師は山田雅稔師範であり山田師範は大山総裁の直弟子である。今年で入門して27年になるが山田師範からは事あるごとに大山総裁の偉大さを教えていただいている。

  さて話を戻すが 今回優勝したタリエル・ニコラシビリ選手は19歳と若く礼儀正しく試合態度も清々しく溌剌としていてとても強く立派な王者である。松井館長も仰っておられたが我々の組織からこのような王者が誕生したことはとても喜ばしいことだ。しかし私としては唯一残念なのが彼が日本人ではないことだ。全日本大会なのだから日本人に勝って欲しかった。しかし田中健太郎選手を筆頭に森選手、小林選手,荒田選手、鎌田選手、安島選手など若い選手が成長してきたのは明るい希望材料だ。正道会館の沢田選手も外国人負けしないパワーがあり好きな選手の一人だ。そして個人的には何と言っても17歳で(特例で出場!)二日目に残った城北支部の高橋佑汰君である。城北支部の川本師範とは懇意にさせていただいているので高橋君のことは子供のころから見てきているし一緒にあの名作DVD「キョクシンウオリャーズファミリー編」で共演していて家族ぐるみで知り合いなので我が身内のことのように嬉しい。今後が楽しみだ。

 我が支部では現在城北支部練馬を中心に活動している杉山君が強豪福井選手を破り二日目に残った。戸谷君、服部君も課題が明確になった。今後その課題を克服できればもっと強くなれるだろう。皆とともに来年に向けてまた頑張ろうと思う。私はこれからも率先して稽古します。 最後になるが「ワールドカラテ11月号」129ページノ[大山倍達総裁あの一言」名言集が奇しくも今回の全日本大会に対する大山総裁のナマの声のような気がしたので引用させていただき終わりとしたい。

『敗戦の口惜しさがバネとなって今の日本がある。大事なのはバネだ。』(大山倍達総裁)
  今の我々の心にしみ込む言葉である。