2011/3/7
夜泣き


 江口美幸です。長女と同じように、やはり次女もありました・・・夜泣き!
 一体あれはなんなのか。なぜあんなに、ひきつけを起こしたように激しく泣くのか?全員の赤ん坊が夜泣きをするわけじゃないところが、また腑に落ちない。南大沢の川崎先生のところの子供なんか新生児のころから一回眠るとピクリとも動かず朝までぐっする眠るそうで、それがまた、なぜうちだけ?とほほ・・・という気持ちになってしまいます。
 夜中の3時頃に泣きはじめ、そのまま、朝の6時くらいまで続きます。体をのけぞらせ、ぎゃあー!!と、激しい声で泣き続けます。
 またこれが、子供のタイプによるのですが、うちの子は、抱かないと泣きやみません。しかもしっかりと、縦抱きで。横抱きにすると、背をぎゅーんとのけぞらせて、そりゃもう泣く泣く!しばらく抱いて、泣きやんで眠ったのを見計らい、そーっと、そのまま10分くらいかけて子供の体を横にし、超スローな動きで、布団に寝かせて・・・そして手を離した瞬間に、ぎゃあー!と泣き始める。仕方なくまた抱く。この繰り返しです。
 ダンナさんに協力を求められるときならよいのですが、次の日がたまたま彼の仕事が朝から夜までいっぱい、というときは、共倒れになってしまうので、ダンナさんを起こせません。朝まで一人で孤独に抱いていることになります。

 ある夜、子供を抱いていて、寝不足で朦朧としながら、ああ、やばいな、と感じる時がありました。今、私はこの子のことが全く可愛くないどころか圧倒的に憎い、と感じ、憎いので「抱く」という行為が嫌だ、と感じたからです。私を睡眠不足で苦しめる存在であるこの子に怒りを感じ、怒りを発散したい、という思いも感じました。
 この怒りを正直に表現したら、子供を叩きつけてしまいたい!という気持ちです。これはやばい。でも、抱くしかない。これは、この気持ちを何かで少しでも紛らわしつつ、自分を機械のようにして抱くしかない!と思い、そうだ、音楽!と閃いたので、イヤホンをつけ、好きな音楽を聴きつつ、赤ん坊から目を逸らして、岩でも持っているように、心を音楽に集中しながら、ただただ抱きマシンのようにして、抱いておりました。  その時に、朦朧としながらも、色々なことを考えました。最近、幼児虐待が増えているけれど、わかる、と思いました。しかし「気持ちがわかる」というのではありません。同感も共感も全くしません。自分が虐待をされてきた心理遺伝的な人は別として、「増えている」ということ、それはなぜなのか、普通の人がやってしまう心理というか、それをやる人のベースはこんなで、心の動きはこんな感じであろう、ということがわかった気がしました。

 簡単に言うと「自分は子供のことを常に愛している」「子供は天使みたいにかわいい。虐待なんて信じられない」「私は天地がひっくり返ったって、子供を殴らない。そんなひどい人間じゃない」という思いこみがある人・・・つまり、「自分はいい人なのだ」という思いこみがある人、そういう人が、恵まれた世の中で、あまり精神的に追い込まれることもなく育ち、でも育児だけは核家族化の影響で一人でしょいこまなければいけなくて、ある意味昔よりも厳しく、簡単に極限状態になってしまう。その結果、虐待を起こしてしまうのだということがわかったのです。
 なぜかというと、(あっ、私は今、子供が憎くなっている。やばい)と思うからこそ、コントロールしようとし、対策を立てられるのです。自分の感情を自覚するからこそ、正確な対策を立てられます。
しかし、自分の醜い感情を素直に認めず、常日頃から自分が平和で立派だろうと思っている人は、対策を立てられません。そのような人は、連日徹夜に近い状態になり精神的な極限状態にきても、自分の正確な感情がわかりません。心の底では「殴りたい」という欲望があるのですが、それを認めません。するとそこに、必ずそれを正当化する「言い訳」が入ってきます。「自分は悪人でもないし、子供も愛しているし、感情的に殴るような人間じゃない。殴るのには、このような仕方ない理由があるのだ」という言い訳です。一番はやはり、「しつけ」でしょう。だから虐待する人はみんな、しつけのつもりだった、って言います。そういう理由さえ自分の中で見つかれば、そこにはもう、殴る欲望を止める必要はないですから、平気で殴れます。

   「だって仕方ないじゃない」からはじまって、「それにはこういう理由があって」という言葉、それが癖になり、その「言い訳する普通の人」が追いつめられると、子供も殺してしまうのだなあ・・・言い訳をしない、という心の訓練をしないといけないのだなあ・・・という結論に至ったとき、白々と夜が明けてきて、子供も眠り、私も泥のようになって眠りました。あれは、思考が深まった修行の夜でした。

 長女と同じく、次女の夜泣きも、10日間ほどで終わり、やっと平和になりました。皆さん、言い訳を普段からしないように、空手の修行、頑張っていきましょう。私も頑張ります!