2013/1/11
休暇小屋

八王子 八王子みなみ野担当の大谷です。 やって来ました新年とともにNew Years Day 十四回目 さて何書くか・・・

古い話ですが生誕百二十周年を記念して近代建築の巨匠ル・コルビジェ展 世界遺産登録申請で話題の国立西洋美術館ではなく、何故か六本木にて大回顧展。
終の棲家ともなった【休暇小屋】も実物大で再現。イカレちまったぜ! 行くしかない。いざ 聖地!?六本木へ。

コルビジェと言えばモデュロールの黄金比率。20世紀に蘇るルネサンスの遺産。何故、この法則にたどり着いたのか?

展覧会には直方体の集合住宅【マルセイユのユニテ・ダビダシオン】のメゾネットタイプも再現されており、彼の思想 近代建築の5原則 @ピロティA屋上庭園B自由な平面C水平に連続する窓D自由なファザードを網羅し、生活のために必要最小限のスケールで機能的な住まいを人々に提供しようとしたコルビジェの意図が感じられます。
このときに採用されたのが彼が開発したと言われる人体寸法の尺度モデュロール(人体寸法およびフィボナッチ数列、黄金比に基づく基準)。

彼の創造は建築の他 絵画 彫刻 デッサン タペストリー エナメル画 家具 都市計画など多岐に渡ります。創作のインスピレーションの源は芸術にあったことが伺えます。
中でも絵画はカンディンスキーやモンドリアンに近い抽象画、後に建てる宗教建築の傑作【ロンシャン礼拝堂】などは絵画と彫刻の融合体のような代物です。
アンドレ・マルローも感激したことでしょう。

夢であった都市計画は殆どが実現出来ずに終わります。しかし、ネルーにインドのバンジャブ州の州都チャンディガールの都市計画を以来され、長年の夢が叶います。
都市計画のテーマ(太陽 空 緑)と彼の理想的なアートが都市全体に表現されていきます。どれほどの思いで取り組んだのか想像し難くないのです。

そして【休暇小屋】「おそらく この家で生涯を終えることになるだろう・・・」。
巨匠が住むには あまりにも小さい(驚き) 、八畳ほどの広さ、簡易ベッド2つに作業台、最小限のキャビネットにトイレと洗面台のみ。
小さい窓から見える景色は砂浜とそれに連なる海、壁も天井も手を伸ばせば届くほどの寸法・・・。まるで 待庵、いや 方丈の庵だ!
過密化する近代都市に人間的な理想の環境を構築することを常に考えていた男が最後にたどり着いた小さい掘っ立て小屋(汗)。いつの世にもある火事、地震、津波、遷都(政権交代)、飢饉(不景気)に無常観でも抱いたのか・・・。
衣服や建物など形あるものは常に失われる。地位や権力、金も同じようなものかもしれない。
人間の為に心地よい空間を提供しようと試みたコルビジェ。 モデュロール寸法に人間賛歌。心の有り様を込めたのかもしれない。
そして行き着いた先が最小単位のモデュロール。彼の心情を表していると信じたい・・・。やはり舌の力を借り、南無阿弥陀仏 三遍 唱えたのだろうか・・・。

果たして我が輩はコルビジェを理解出来たのであろうか? 次回がないことを祈りつ・・・。