2014/1/30
空手




江口美幸です。
いつも私は文章を面白おかしく書いているので、今回はほんの少し方向を変えて、真面目な話を。
最近ずっと、空手が面白くてしょうがありません。空手が面白いということは、私の生活全体が、面白いということになってきます。毎日、「楽しい」という感じています。
それは何故か?それは「進歩している」と感じられているからです。

私は選手生活が終わって何年かは、自分の能力を「維持している」という感覚で生きてきました。私の中で、ピークは過ぎたけれど、それが落ちてゆくのを、なるべく遅くしたい、と考えてきました。
しかし落ちてゆくのを防いでいる、という感覚は、私には心地よくないのです。自分がゆっくりと落ちてゆくのをじっと見ながら、胸の中で、絶望と諦めの気持を常に感じていなければなりません。
老化というものは必ずあり、それはリアルに見なければいけないとは思います。リアルに見ることによって、自分がどのようなことができるのか、できないのかが、正確に分かってきます。

しかし、その中でも私は進歩したいのです。進歩してゆく、という感覚。悪戦苦闘しながらも、ゴールに向かってゆく、目標に近づいてゆく、というその感覚は、わくわくして、楽しいものです。
私は、学ぶという行為が好きです。努力して、出来なかったことができるようになってゆく、という過程に、喜びを感じます。
だから、目標に向かってゆく道を見つけられるかどうか。どうやって毎日歩いてゆけばよいのかがわかるか、わからないか。それが、私の毎日が楽しくなれるかどうかを決める、大きな要因でした。

進歩してゆくやり方がわかった、と思った時は、体が急に軽くなり、目の前の景色がパーっと明るくなったような気がしました。でも、それも、何とか道をみつけようと、何年もあがいていたから見つけられたのと、後、うちのダンナさんが傍にいたからでしょう。
私達夫婦は、空手の話はほとんどしませんが(そんなもんですよ)、そんな中でも、うちのダンナさんが、ほんの、ごく、たまに「こうしたらいいんじゃない?」とか言うのは、大きなヒントになっているのは間違いありません。というわけで、本当に感謝してます。私は、あなたが、追求する人でよかった。

それからソンラム先生のミット稽古の時、先生が言ったことが、武道の考え方そのものだったのも感激しました。蹴りを先生が一生懸命に説明してくれて、呼吸の道筋と、「ココ」と言って、丹田の位置を指した時は、びっくりして体が震えました。この考え方が、ミット稽古で実践できるなんて、すごいことです。よく言われることですが、ラジャダムナンのライト級の世界チャンピオンって、やっぱり天才なんですね。ソンラム先生、早く復活しないかなあ。

だけど、私が勝手に「分かった」と思っているだけで、本当は全然違うかもしれないし、しかも「進歩してゆくやり方が」分かった、というだけで、それがうまくいくかどうか、そしてゴールにたどり着けるかどうか、というのは、全然別問題です。というか、分かった、と思った次の瞬間は、その道があまりに長過ぎる、ということが理解できたので、「あれっ、無理じゃね?」と、若者風に呟いてしまったくらいです。ざっくりと計算したら、大体300年くらいで目標のところに近づくと思うんですが。300年は生きられないしな・・・困ったな。

でもまあ、やらなければ近づくこともできないし、それに、努力するのは、先ほど言ったように、とても楽しいのです。だから、私はこれからも空手、頑張りますよ!