2014/10/10
キャンベル・スープの缶



八王子 八王子みなみ野担当の大谷です。 やって来ましたアニバーサリー二十回目 これで完結 さて何書くか・・・。

美術館の開館10周年を記念してアンディ・ウォーホール大回顧展。 以前 回顧展が開かれて以来、 なんと二十年ぶり。 そういえば その時も行ったなあ・・・ 【キャンベル・スープの缶】や一連の有名人を使った作品も勿論登場。 最近取り引きされ ついた値段は100万円!ではなくて何と100億円!【シルバー・カー・クラッシュ】も参戦 ポップアートとは何ぞや? あか みどり あお ぐんじょいろ きでい・・・二十年の時を経て いざ 六本木へ。

生まれはピッツバーグ 貧しいスロバキア移民の子。 世界恐慌の影響が色濃かった時代 貧しい上に父親は早くに亡くなります。 母親が内職によって作り出す日用品で稼ぐ日銭が一家の支えだった。 これがウォーホールの創作の原点だとも言われています。 地元で広告芸術を学んだ後、 ニューヨークに出て働きます。 商業デザイナー イラストレーターとして みるみる頭角を表します。 ウォーホールが編み出した技法(ブロッテド・ライン)は評判になり成功を納めます。 しかしウ゛ォーグ紙の仕事を受けるような売れっ子だったにもかかわらず あっさり辞めてアーティストに転身します。 この時からトレードマークの銀髪のカツラを身に付け始めます。 病弱で色白の肌に銀髪は、 マネキンのように 人間離れした怪しさを漂わせていきます。

三十代になると、 名作【キャンベル・スープの缶】の一連の作品が登場します。 ポップアートの誕生です。 本人いわく、 「キャンベル・スープを描くアイデアは友人から50ドルで買った」らしい・・・ 安い! 大量消費されるだけの缶詰め その缶詰めを同じように描き 並べて飾るだけ。 こんなものを作品にしようなんて誰が考えるでしょうか(驚き)。 大量消費社会を風刺しているのか・・・味の種類が違う缶詰めを沢山並べてスーパーマーケットの陳列棚のように描くと何故か欲しくなってしまう不思議さ!? 消費者の心理を見抜いているかのようです。 さらにシルクスクリーン(印刷技法)を使い作品を創作し始めます。 これにより ウォーホールの作品を誰もが反復し大量生産出来るようになります。 事実、 自分のアトリエをファクトリー(工場)と呼び 労働者を雇いアート作品を生産していきます。 そのアトリエは何故かアルミホイルと銀色のペンキに覆われ まるでUFOの中にいるみたいでピポパポピ ピピピ!なんて電子音が聴こえてきそうです。 そこから映画制作、 音楽プロデュース、 雑誌制作とウォーホールの 芸術表現は多岐に渡っていきます。 そのためなのかファクトリーには 沢山の変な人間が入り浸ります。 ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、 後にボブ・ディランと付き合うモデルのイーディー・セジウィック ウォーホール自身 バンドのプロデュースを手掛けるウ゛ェルウ゛ェット・アンダーグラウンドのルー・リード 美術、 芸能、 音楽、 映画、 政治、 出版、など 好むと好まざるとに関わらずウォーホールの相関関係は拡がっていきます。

同時期 死と惨事をテーマにした作品が増えます。 そこで創作されるのが冒頭の【シルバー・カー・クラッシュ】交通事故のワンシーン(ドライバーの死体も含む)を白黒で何度も反復させた変態な作品です。 同じく死を連想させるものとして電気椅子や飛び降り自殺までも作品にしていきます。 ジャクリーン・ケネディやマリリン・モンローの作品も死を連想させるものでした。「死に深淵なテーマなんてない 薄っぺらいものなんだ」と言い放ち 死を超越したかのようです。 そのせいなのか四十代になるとファクトリーに入り浸っていた政治集団、 その名も【全男性抹殺団 S・C・U・M】の女性に撃たれます。 三発も撃たれ 一発は肺や脾臓 胃 肝臓を貫通し瀕死の重症を負います(汗) やれやれ・・・。

死の淵から生還したウォーホール 反省したのか、 ビジネスアートと呼ばれる注文肖像画に力を入れ大ヒットします。 一展で25000ドル 二展だと30000ドルとお得。 ウォーホールに描いてもらえること自体がステータスとなり 有名人やセレブ達は買い漁ります。 その数なんと千点以上。 ウォーホール自身、 世界各地のセレブ達のパーティーに現れ、 売り込みに余念がなかったといいます。 「一番好きなものはお金」「うまくいっているビジネスは最高のアート」と宣言。 お金の単位のドルさえも絵にしてしまいます。

ウォーホール自身 死ぬときは呆気なかった。 胆嚢の手術のため入院 死ぬ気なんて全くなかったろうに合併症により死去。 生に執着していないかのような死に様でした。 「僕の墓には何も書かないでほしい。 もし入れるなら全部ウソ」享年58。

有名な言葉 「未来には誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」 マスメディアが発達し、 世界中にあっという間にニュースが拡がる大衆情報社会。 まるで将来のインターネット社会を予言したかのような発言です。 自我が肥大化し、 自分を知ってもらいたい、 自分はもっと評価されたいと願う一億総発信狂時代になった現代、 誰もが奇抜なことをすれば 15分間は有名になれるのかもしれない・・・。マスメディアにより深淵な死さえも 簡単に消費され 忘れ去られ 薄っぺらい記号化されたものになり下がる・・・ウォーホールの死に対する発言は現実になった・・・(涙)

「僕を知りたければ作品の表面だけを見ればいい 裏側には何もない・・・」。

一切を言い訳しなかったウォーホール・・・。

展覧会入口には、 真っ赤に染まった自画像のウォーホールが飾ってありました。 社会をキャンバスとし、 赤く燃え上がりながら社会に挑むかのようでもあります。 しかし 哀しいかな我が輩には 火だるまで 血だらけになったウォーホールにも見える・・・ホップと言えどもアートには覚悟がいるらしい・・・。

会場にはウ゛ェルウ゛ェット・アンダーグラウンドのルー・リードの咆哮がいつまでも鳴り響いていた・・・。

アウトサイドでいこう!(追悼)

果たして我が輩はウォーホールを理解出来たのか? 次回がないことを祈りつつ・・・。