2015/3/16
 将棋電王戦FINAL 



押忍!戸谷です。

まだまだ夜は冷えますが今年も春がやってきました。
春は我々極真会館の人間にとって国際大会の季節ですが、他所でもここ数年この季節に熱い戦いが行われています。プロ棋士とコンピューターソフトが真っ向から戦う将棋電王戦(主催:株式会社ドワンゴ)です!

2年ほど前、こちらのコーナーにも一度電王戦の話を書かせていただきました。
2012年から始まり今年で第四回を迎える電王戦ですが、今回は「FINAL」と銘打ち、人間とコンピューターが5対5の団体戦を行う対局形式は最後となります。
対局形式は変われど、人間とコンピューターの協力マッチなど、今後もあらゆる形で電王戦は続いていくようです。ただ、所謂ガチンコで人とコンピューターのどちらが強いのか決する…という趣旨のものはもうやらないのかもしれません。

人気や話題性はあるのにこれ以上行われない理由としては、「これまでの対戦成績でプロ棋士が大きく負け越しているが、これまで以上のメンバーを出すとなるとタイトルホルダーを出さざるを得ない。しかしタイトルホルダーまで負けてしまった場合はそのタイトルとタイトル戦を主催してくれている企業の顔に傷をつけかねないから」、ということを日本将棋連盟側は公式に言及しています。
これは実際その通りで、今のところ人間側は11戦して9敗(リベンジマッチなどの番外編除く)、プロ棋士のトップ10であるA級棋士もなす術なく敗れています。現役名人も含め、タイトルホルダーが敗れてしまう可能性は現実的に有り得ます。

また、強いコンピューターソフトと戦うためには、そのソフトと事前に何度も何度も練習対局を重ねる必要があり、結果的に本業であるプロ棋士同士の順位戦やタイトル戦への負担も大きくなってしまいます。
対局している感覚、クセが、人間とは全く違う、さらにソフトによっても違ってくるため、それ専用の練習が大幅に必要になるのです。地力の強さだけでぶっつけ本番で戦えるようなものではないそうです。

見ている側としては単純に「タイトルホルダーがコンピューターと戦うところを見たい」などと思ってしまいますが、実際これは一筋縄にはいきません。
 フランシスコ・フィリォ師範が空手の世界大会を目指しながら、同時に「極真」を背負ってルールの違うK-1に挑戦していたようなものなのかもしれません。

 面白いのが、コンピューターを相手に好成績を上げているのが、10代後半から20代半ばの次代を担う非常に若い棋士たち、というところです。
 コンピューター将棋、インターネット将棋に物心ついた時から慣れ親しみ、師匠や先輩たちも柔軟な世代で、新しいものをどんどんと提供され吸収していったのが今の若手棋士たちなのかもしれません。
 空手でも、高校生くらいの若手の選手が一般上級大会でどんどん台頭するのが当たり前になってきました。
 このあたりの世代観は全く他人事ではなく見てしまいます。
FINALとなった今回の電王戦、自分は同い歳の阿久津主税八段を特に応援しています!

 電王戦FINALは、ニコニコ動画というサイトで4月11日(土)まで毎週土曜日朝から生中継しています。
 大体毎回10時間近く放送しているので、じっと画面に向かい合って見るより、ラジオのように中継流しっぱなしでなにか作業をしている合間合間に画面を見てみるのがおすすめです。
 よろしければ是非ご覧になってみてください!