2018/11/27
「タイ語奮闘記・3」


江口美幸です。前回に引き続きタイ語のお話をさせてください。

私、ダニエル・カールさんを目指そうと思います。
どういうことかと言いますと、私、ソンラム先生のあの素晴らしい技術を習得したい為に、タイ語を、教科書でも勉強してましたが、そりゃあ、生のタイ人が目の前にいらっしゃるんですから、うるさがられない頻度ではありますが(多分)、わからない単語は先生に
「これはタイ語で何て言いますか?」と訊き、先生が「それは○○」と言ったら、それを真似て言ってみて、次にそれを使って文章で言ってみて「合ってますか?」と言って、何度か先生に発音を直されて練習して、
「うん、そうそう」とオーケーが出る、という流れで、タイ語を習得してきました。

かなり前に
「先生はバンコクの人ですか?」とタイ語で質問した時に、先生は
「違う。コンキャット」と答えました。
コンキャット…聞いたことないな、と思い
「バンコクから近い?」と訊いたら
「くるま、で…7…ふん」と、日本語で答えました。ふーん、車で7分だったら、すぐだな、国分寺から西国分寺くらい?それでもバンコクの人って答えないのは、郷土愛が強いのかなあ?などと思っておりました。

それから一年半ほど経ったときに、たまたま図書館で貸りたタイ語の本にタイの地図が載っていました。片方のページはバンコク拡大図、もう片方にはタイ全土の地図が載っておりました。
なので先生にそれを開いて見せて
「先生の故郷は、どこですか?」と訊いてみました。
私は、先生はバンコク郊外あたりを指差すだろうと当然思っているので、微笑みながらバンコク拡大図のページを見ていました。
しかし先生が笑顔で「ココ」と指差したのは…なぜか隣のページでした。
ん?あれ?
隣のページで先生の指差したところを見ると、バンコクから遥か離れてる地方都市「コーンケン」というところでした。
あれ?あれ?と、戸惑ってしまい、先生を見つめながら、本を開いたまま、無言で後ろに下がってしまいました。
ん?違うぞ?コーンケンじゃん。あれ?

慌ててコーンケンを調べてみますと「コーンケン、愛称コンキャット」という文が。え!愛称?大阪をなにわっていう感じ?っていうか、バンコク行きの地方空港もあるよ。飛行機だよ。そして高速バスで、バンコクまで7時間…。
…やっと気がつきました。…先生は、「分」と「時間」を間違えたんだって。

うん…なるほど。その1年半の間に、話がなぜか通じないな、という出来事がいくつかあったんですよ。
「先生、ニュース見ましたよ。クーデター起こって、バンコクでデモやってますね。先生の家の方は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。うちの方は全然関係ないよ」「歩いて先生のうちの方まで来ない?」
「え!来ない!来ないよ」先生は手を振って、吹き出すようにして笑ったっけ…。確かに、歩いては来ませんよね。
そういうことが、他にもいくつかありました。走馬灯のように浮かぶ、食い違う会話、先生の(何言ってんの?)という顔。
ううーん、恥ずかしい。でも、誰が悪いっていえば、先生が悪いんだけどなあ。先生、自分の間違いに未だに気がついてないけど…。

そして最近気がついてしまったのは、先生の単語の発音と、教科書の発音が違うことがあったり、バンコクで練習していた金原先生のタイ語の発音がソンラム先生と全く違ったりすることです。
…私が覚えて、使っているタイ語は、方言なのでは?という疑念がじわじわと湧いてきました。

そして最近、たまたまタイの言葉について書いた文を読んだところ
「バンコクが標準語だとすると、コーンケンなど、タイ東北部の言葉は、大阪弁のようなものです」
というのを、見つけてしまいました…!ああ!…やっぱりそうかあー!

じゃあ私がこの間、先生が咳をしていて私がのど飴あげた時、いつも通りに「飴」と「飴、いりますか?」を先生に発音を訂正してもらって何回か繰り返して練習したときも、本当は「飴ちゃんー」「飴ちゃんー」「飴ちゃんいりますう?」「飴ちゃんいりますう?」って、練習していたってことですよね。

日本で、明らかな外人さんが「なんでやねん」って言ってたら、とても面白いけど、私、女性だし、タイに行ったときにオモシロ外人になるつもりはなかったんだけどな…。

でも、もう仕方ないです。私、このまま流暢な方言を操るダニエルさん目指して頑張ります。ではまた!