2021/4/27
新年度!


八王子みなみ野道場の戸谷です。


新年度になってそう間もない4月25日に3度目の緊急事態宣言が発出されました。
発表がその二日前だったということもあって、あらゆる業界で急遽営業やイベントの中止が発表されました。

その4月25日に予定していた世界チャンピオン上田幹雄選手の100人組手は、会場入りする全ての人の事前体調チェックをし、見学はライブ配信のみという形で、でき得る限り厳重な感染対策の下に行われました。

上田選手は序盤から技有や一本を連発。40人目までは快調に勝ち進んでいました。試合とはまた違う、相手の動きにその都度しっかり対応する圧巻の組手でした。
しかし、40人台半ばからダメージが蓄積し動きが固くなってくると、その分さらに攻撃をもらってしまうという状態になり、60人目を終えたところで無念のドクターストップとなりました。
100人達成とはなりませんでしたが、世界大会代表選手そろい踏みの対戦者陣に対して当たり前のように技有を連発する上田選手は、やはり現役最強の風格がありました。
見ているこちらも非常に勉強させていただきました。


同じく4月25日に予定されていた西東京型試合、および5月2日に予定されていた城西カップ、こちらは会場施設が使えなくなってしまったため中止となりました。
型・組手ともに試合に向けて頑張っていた選手たちはみんなきっちり仕上がっていましたが、残念ながら今回は力を発揮する機会が離れてしまいました。


新年度早々に大会が潰れてしまいましたが、個人的には今年度を活気のある一年にしていきたいと考えています。
ここで言う活気とは、大会で成績を出す、大きなイベントを興すということではなく、「日頃の道場稽古の"楽しさ"の平均点を上げていこう」という、わりと地味なものです。

昨年度はコロナに振り回される形で正解が見えない、暗中模索を続けているような危機感がずっと心にへばりついていました。
休館や試合中止が続く中選手たちのモチベーションをどう保ったらいいのか、ウイルス対策をしながら小さい子供たちへの指導をどうするべきか、推奨すべき練習はなんなのか、クラス編成はこれでいいのか、世の中の衛生観念の相場はどうなっているのか…等々、時期によって正解が変わっていく事柄が数多くありました。

特に小学6年生、現在の新中学1年生に対して、(空手において)やっていることが曖昧なまま小学校を卒業させてしまったのではないか、という不安はぬぐえませんでした。
小学生最後の試合も合宿もお楽しみ会もない、稽古は対人戦を避けたりマスク常着だったり不自由な状態が続く、大人はみんな対応に追われてバタバタしている…
常に「これでいいのだろうか」という思いがありました。

ただ、年度替わりの頃に思い知らされたのは、子供たちの方が意外と冷静で、小学校卒業を機に一旦空手をやめる子も、中学生になってからも続けてくれる子も、こちらが右往左往しているのとは関係なく自分の考えを持って日々道場に通っていてくれたということです。

なので、こちらが「やる気を焚き付けなければ!」「みんなをこれくらい上達させねば!」「選手に危機感を持たさねば!」と常に暑苦しく接するよりも、まずは環境を均して通いやすくした方がいいな、ということをここ最近強く実感しています。

ある意味ではこれまで"行事頼み"の指導であることが多かったです。審査会なり試合なり合宿なり、そのイベントへの盛り上がりで道場生のモチベーションを有耶無耶にしているところがありました。(もちろん行事そのものは必要です)
行事がない・激減している現在は、日頃の稽古そのものがモチベーションにならねばならないと感じています。
クラス編成は通いやすいものか、それぞれのレベルで練習しやすいものか、その人にとってネックになっているものは何か、こちらの接し方に問題はないのか、等々。一つ一つ見直していく機会になりました。
江口師範が国分寺道場のブログで、「道場生の皆さんが通ってくれていることに感謝している」という言葉を毎回書かれていますが、そういう姿勢で日頃の指導を行うべきだなと改めて感じています。

そんなわけで、昨年度に惑いまくっていたおかげか、今は「これからはこうしよう」という方向性がある程度ハッキリ見えてきています。
まずは稽古を楽しく、です。そのための地味な工夫を一つ一つしていこうと思っています。
コロナがあって良かったとは決して思いませんが、こういう機会でもなければいつも通り年間行事に合わせてただ惰性で活動していた部分は非常に多かったはずです。
クラス編成をごちゃごちゃと変えたり道場生の皆さんにはご迷惑をお掛けすることが多かったのですが、全ての道場生にとって必ず良い方向になるよう励んでいきます。


…今回、ただただ自己完結型の面白みのない話をして終わってしまったんですが、これで良かったんでしょうか。