2021/8/22
うちの息子について


押忍。八王子みなみ野道場の戸谷です。

突然ですが、今回は今年の10月で4歳になるうちの息子、祐希十(ゆきと)についての話です。
うちの息子は重度の知的障害をともなう自閉症スペクトラムと診断されています。

いや、いきなり重そうな話なんですが、そういうトーンではなく、それなりに考えた結果、うちの場合はオープンにしていった方が家族にとっても息子本人にとっても良いのではないかという判断で今回書かせていただいています。
昨今アウティングなどの問題も取りざたされていますが、息子に不利益がないことを念頭に書いています。


言葉を選ばず言えば、うちの息子は無害な仔犬に近いイメージです。
攻撃性はほとんどなく、かわいいもの(花やうさぎのぬいぐるみなど)が大好きで、いたずらはするものの基本的に平和裏に跳んだり走ったり遊びまわっています。
ただ、「ハパ」「ママ」などの発語は全くなく、こちらの言葉も通じないので年齢相応の日常生活はできません。

うちの妻は元々その手の見識が深く、療育やサポートの手段、様々な手続き、全てを先行して教えてくれ非常に助けられています。
子供の障害を認識したときに、妻も「葛藤がある」とは言っていましたし、その言葉は重く受け止めるべきなのですが、多分世の中の平均と比べたら圧倒的に精神的なダメージは少なく収めているかと思います。
こういうダメージは、将来への純粋な懸念もありますが、障害に対する差別心がそのまま反射してくるものなのでそれがほぼなかったのが大きいです。

私は私で、異常なほど息子の障害を気にしていません。(問題点を認識できていないのも多分にありそうです)
それというのも、一応曲がりなりにも武道を修めようとする身でそれくらいで狼狽えていたらダメというか、「親のボクが傷つく」も何もないなと考えています。
また、ひどい話ですが、「福祉が…福祉がなんとかしてくれる!」と思っています。

あと、今年で6歳になる娘がわが道を行く感じで毎日幸せに生きてくれているのにも助けられています。
遊ぶことしか考えていないくせになぜか弟には優しいです。
息子は息子で親に対しては遠慮がないくせに、姉のものは取ったりせずに配慮していて、今のところ姉弟の距離感と仲の良さが極めて良いです。

保育園の先生たちも極めて優しく上手に接してくれています。
正直オペレーション上はとても大変だと思います。
本来3歳児クラスは保育士1人に対し子供20人以内が国の基準となっていますが、うちの息子がいると人員はそちらに丸々1人分とまでいかなくても0.5人分くらいは確実にもっていかれるはずです。
それをどうやって回しているのか、きちんと給食も食べさせてくれてお散歩も連れて行ってくれて、毎日楽しく通わせてもらっています。
他の園児たちも意思疎通できないはずの祐希十となぜか一緒に遊んでくれていているようです。
すごい保育園だなと内心いつも思っています。

そんなこんなで、毎日楽しくすごしています。


ただ、つい先日も、たまたま預け先のない日に道場での指導があり、祐希十が走り回ってしまうのでやむなく肩車をしたまま稽古をしていたところ、見かねた少年部保護者の方がその場で預かって面倒を見てくれる…といったことがありました。

何かの拍子で道場や空手の行事に祐希十を連れて行かざるを得ないときに、予め周囲の方にご理解いただいていた方が良いことも今後あるかと思います。
できる限り迷惑になるような事態は避けますが、クローズになりすぎず上手なバランスでやっていきたいと考えています。

それと同時に、こちらがオープンになることによって、障害を持つ道場生やその保護者の方が少し相談しやすくなればいいなとも思っています。
息子が療育に通っていることを伝えると「うちもなんです!」とおっしゃってくださる少年部保護者の方は過去にも結構いらっしゃいました。
なかなかご自分から話す機会もありませんし、話した相手が全くの無理解ということもあり得ます。息子をダシに使うようでなんですが、そういった相談ができる切っ掛けにもなれば幸いです。

知的障害でなくとも、個々の特性から、稽古中にきちんと整列できない、返事や気合で声が出せない、ずっと誰かに話しかけてしまう、スパーリングで加減ができない、型を覚えるのが極端に苦手、といった問題と直面することがあります。
このときに指導員側に理解がなかった場合、全て「この生徒は不真面目だ」「やる気がない」という形で見られて事あるごとに怒られてしまいます。
ある程度叱られて「ダメなものはダメ」とわかってもらう必要はありますが、叱られていることの本質的な意味がわからないまま責められ過ぎても空手が嫌になるだけです。
頑張って習い事に行ったらわけもわからず怒られて傷ついて帰ってくる…それはあまりにも可哀そうです。
私自身も過去にそういう叱り方をしてしまった反省が強くあります。
障害を持つ子供の親御さんは、学校でも習い事でも、全く解ってくれない先生に当たってしまわないかどうか、戦々恐々としているところが大なり小なりあるのではないでしょうか。

それと同時に、指導する側としても「予めその子の特性を言ってくれていないとわからない」場合がかなりあります。
何から何までパーソナルな指導はできませんしすべきではありませんが、その子の特性を知った上で一工夫すれば当人も指導員も周りの道場生も楽になることは多々あると考えています。


というわけで、あえて今回この場をお借りして息子のことを書かせていただきました。
道場の自主練の時間などにうちの子供たちを見かけたことがある人もいるかもしれません。気が向いたら一緒に遊んでくれたりすると嬉しいです!
今後ともよろしくお願いします!