2023/12/16
『失語症になりまして‥A』


2022年5月14日土曜日、この日はなんとなく胸騒ぎがする悪い予感がする日でした‥なーんて事もなくフツーの土曜日でした。

早朝に道場に行ってタントウ、試力、歩法をして1階と2階の掃除をして、加圧トレーニングのお客様達のパーソナルトレーニングをやってから、少年部のみなさんと一緒に少年部の稽古をして19時から金原弘光先生の総合格闘技の指導を受けました。

その日はグラップリングで『スイープ』(寝ながらの投げ技)を練習していました。スイープといっても本当に色々なスイープがあって、スパーリングの時には金原先生にいつもポンポン投げられてしまい私は何度やっても中々思うようにいきません。

ちなみに金原先生はグレイシー柔術黒帯のエンセン井上先生をして『カネハラが1番強い!』と言わしめた天才肌の人です。
金原先生曰く『師範、体重の変化、バランスですよ、力じゃないですよ!』と事あるごとに言いますが、私はまだまだ力だけに頼ってしまいます。

そしてこの日もスイープに四苦八苦していました。そして自分が左足(右足だったかな)を持ち上げようと力で踏ん張った時、何かが弾けて右手が動かなくなってしまいました。
それから全身が効かなくなりました…首も動かせません。金原先生が『脳梗塞だ!師範、寝て!』と言いました。私は(先生、脳梗塞じゃないですって。しばらくしたら元に戻りますからそしたらまた練習しましょう)と言ったつもりが声が出ないです…。

アリャリャ困ったな、と思っている内に救急車が来ました。
(金原先生、それから見守ってくれた戸張さん、柿本さんホントにスイマセン。)と言ったつもりがまたまた声が出ない。
そうこうしているうちに担架に乗せられて救急車をに入りました。
家内も一緒に救急車に乗ってくれたそうですが、私は身体が動けないままだったので家内がいるとは気づきませんでした。知らなくてごめんね。

それから昭和病院に着いたようですが私は動けません。
(困ったな…)と思っている内に朝になりました。ここは病室でどうやら眠っている間に手術が終わったようです。試しに身体を動かしてみたら前のようにはいかないけど動かせます。

よし!先ずはトイレにいってこよっと、思ってベッドから立ったら看護師さんが「江口さん、どこに行くんですか?」と慌てて言ったので(いやトイレに行こうと思って…)と言おうと思ったのだが言葉が出ない。
これはもしかして声が出ない病気なのか?と心配しつつ看護師さんと一緒に行ってトイレを済ませました。

病室に戻り、ベッドで寝ながら、もし声が出なかったらどうしようと思い、試しに声を出したら、ちゃんと出やした!わーい!ちゃんと声が出るゾ!と思って思わず言いました。

『ヴバーーッ』……ヴバーーッって何それ… 言葉が出てこない…。『ありがとう』も『おはようございます』も『こんにちは』も。知的レベルは低下していないのに言葉に出てこない。
どうしようかな…。

後で言語聴覚士さんから聞いた話によると私は『心原性左内頸動脈閉鎖症による失語症』になってしまったのでした… 。何その名前。難しい。
(続く)