2023/2/11
「ダンナさん脳梗塞で倒れる・7」


さて、ダンナさん無事に退院し、荷物をひょいと担いで「さすがですねえ」と看護師さんに言われながら、病院を後にしました。
自宅に戻って、荷物を置いたその瞬間に
「夕飯の、買い物に、行こう!」
と言ったダンナさん。
スーパーに行ったら、高速の歩行で肉コーナーにまっしぐらに進んで行きました。なるほど…。
ドサドサと肉をカゴに入れて、次はサワーとビールコーナーへ。ガコンガコンと、缶の音が鳴り響くように、一心に買い物カゴに入れてゆくダンナさん。
帰る足取りが速い!
そして自宅のホットプレートで、真剣な面持ちで肉を焼くダンナさん。そして焼けた肉を無心に食べ続け、心の底から「うまい…」と言いました。 


「ああ幸せ」


道場の大学生などの若者達が、泣けることにお金を出し合って、お見舞いにカタログギフトをくれたのですが、それが表紙に「肉のカタログ」と大きく書いてある、肉オンリーのカタログギフトでした。
子供の時からダンナさんに空手教わっていると、食の嗜好は伝わってしまうものなのでしょうか。
そのカタログを、雑誌の写真を見て楽しむように、ダンナさんは一ヶ月近く、毎日ゆっくりとページをめくり、目で楽しんでおりました。若者達、本当にありがとうね。

さて、そこからは皆さんご存知の通りです。ダンナさんは、次の日から早速練習をはじめ、今はもう以前と変わらぬ量の練習をこなしています。
そして毎日、言葉の練習もしています。一週間に一度、言語聴覚士さんが自宅に来てくれて、色々な言葉の訓練をしています。
ダンナさんが脳梗塞にならなければ、言語聴覚士さんという職業があることも、知らなかったなあ。
失語症になった人のために、言語訓練のアプリもあるんですよ。
レベルを選んで、出てくる写真の単語を書いたり、文を書いたりします。とても良くできています。ダンナさんは空き時間ができたら、すぐにそれで練習しています。

はじめは指導でも言葉がたどたどしく、ご心配をおかけしましたが、今はかなりスムーズに言葉が出るようになりました。
一ヶ月に一度、言語のテストを行うのですが、退院した直後は「50%回復している」でしたが、先週は「85%回復している」でした。このまま順調に90%、95%になり、100%になって欲しいです。

先週、手術後の検診に一緒に行ってきたのですが、お医者さんに
「その後、体調はいかがですか?」と訊かれて、ダンナさんは真剣に
「はい、右のパンチが、左ほど、力が無いように感じます。それから体幹部も、うまく連動しないというか、寝技の稽古で、上の相手を、ブリッジではね返せない感じがするんです。それから、やっぱり蹴りも、右の蹴りが前よりスピードが無くて…」と言ってる途中で、お医者さんは笑顔で
「体調、すごくいいみたいですね」
と言って、
「うん。この調子だと、次は三ヶ月後でいいでしょう。お大事にー」
と終わってしまったので、ダンナさんは
「なんか、全然答えてもらえなかったなあ」
と悲しげでしたが、私は、お医者さんは、しっかりと答えていたと思います。お前は元気だ!ってことですね。

今回のダンナさんの脳梗塞で、私は色々なことを感じ、考えました。
まず、ダンナさんは、脳梗塞という、一見不運な病気にはなって、本人も私も、何ヶ月間か大変な思いはしましたが、実は、本当にラッキーだったんだなあ、ということ。

わけは、長くなってしまうのでまた次回に。最終回かと思いきや、まだありました。
次回こそ最終回です…だと思う!
最終回のテーマは、「練習が命を救う…皆さんへ感謝・愛2023」です(24時間テレビ風)。ではまた!